「古志」YouTube句会(5月)を終えて 1

5月24日(土)は「古志」Youtube句会でした。


毎月第四土曜日に定期開催しています。


特選句からいくつか。

丈六をかたはらにして昼寝かな   きだりえこ


丈六は伊賀・新大仏寺の大仏のこと。

詳しくは過去の記事を御覧ください。


ゆうゆうたる昼寝の姿ですが、


芭蕉や飴山實に唱和するかたちで、


はるかなる時間をうまく一句に取り込んでいます。


真実をひと声高く揚げ雲雀   岡村美沙子


〈真実〉がどんな真実を指すのかは、


読者の受け取り方次第ですが、


この〈真実〉によって、雲雀ならではの句になっています。


たとえば、夏目漱石は雲雀の声について、


雲雀の鳴くのは口で鳴くのではない、魂全体が鳴くのだ。


魂の活動が聲にあらはれたもののうちで、あれ程元気のあるものはない。


ああ愉快だ。かう思って、かう愉快になるのが詩である。


と述べていますが、


岡村さんの句はそれに相通ずるものがあります。


卯の花や住吉さんで苗買うて   澤田美那子


肩の力が良い加減で抜けている詠みぶりです。


住吉大社で買ってきた苗がしっかりと育ったのです。


住吉大社では毎年、5月の最初の卯の日に、


卯之葉神事が執り行われていますが、


そこで買ってきた苗が咲いたのです。


しみじみとした喜びが言外に感じられます。

(すぐり:Red Currant  Photo by Canva


回覧板子には遠道すぐりの実   佐藤光枝


すぐりの実は北国の夏を感じさせます。


回覧板を近所に回すのさえ、幼い子どもには遠い道のりに感じられるというのです。


都会で暮らしていると、ぴんとこないかもしれないですが、


一軒一軒の間隔が大きい農村地域では、おのずから隣家が遠くなります。


そういった点でも、作者の佐藤さんの地域性がよく出ている句ではないでしょうか。


「古志」YouTube句会は毎月第4土曜日に開催しています。


次回は6月28日(土)です。


古志」会員であれば、どなたでもご参加いただけます。


欠席投句も可能です。動画はあとからいつでもご視聴いただけます。


初心者の方、入会して日が浅い方も歓迎いたします。


参加のお申し込みは、


koshionline@yahoo.co.jp


まで、メールにてお願いいたします。


ぜひご参加ください。

大谷弘至 official site

俳句「古志」主宰 和光大学俳句部顧問

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