半歌仙「雪ちるや」の巻 連句解説 4
連句解説の続きです。
前回は恋句でした。
国にいくつの何とか銀座 嘉子
もう一度イルカのやうな恋をして 瑠衣
呆けてさらに愛しき君よ 嘉子
しっかりオチがついたので、恋から離れます。
続いて裏の第五です。
秘仏なる千手観音堂の奥 りえこ
句意は読んでのとおりですので、解説はいらないと思います。
山深い寺がイメージできます。
呆けてさらに愛しき君よ 嘉子
秘仏なる千手観音堂の奥 りえこ
認知症の人を連れて観音堂にお参りに行っている様子が目に浮かびます。
しっかり恋から離れることができました。
続いて第六。
神輿が来れば酒を浴びせて 麻衣子
神輿に水を浴びせかけるお祭り。
この句ではどさくさに紛れて酒を浴びせているところがミソです。
連句では宴や飮食の様子も詠み込んでいかなくてはいけません。
秘仏なる千手観音堂の奥 りえこ
神輿が来れば酒を浴びせて 麻衣子
観音神輿ですね。神仏習合の名残です。
月涼し父の背中で眠りこみ 洋子
第七です。月の定座。今回は夏の月。
こちらも句意は読んでのとおり。
前句と併せて読んでみましょう。
神輿が来れば酒を浴びせて 麻衣子
月涼し父の背中で眠りこみ 洋子
お祭りで疲れ切った子どもの情景になります。
続きは次回。
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