「古志」YouTube句会(10月)を終えて 1

10月25日(土)は「古志」Youtube句会でした。


毎月第四土曜日に定期開催しています。


特選句からいくつか。

はたらきし馬よ塩舐め冬を待つ   大場梅子


人や荷物を運ぶなど、重労働をした馬。


たくさんの汗をかき、ミネラル分が失われるので、塩を舐めて補給させました。

詳しくは過去の記事をご覧ください。


掲句、〈冬を待つ〉が切実に響きます。


厳しい寒さに備えようと必死に生きている様子も滲んでいます。


久遠寺総門天高くして迫りくる   滝沢優子


身延山久遠寺。


総門の高さは10メートル近いものですが、


一句はその迫力を端的に捉えています。


「古志」十一月号にて巻頭となった作者。


今回の句からも充実ぶりがうかがえます。


十夜婆念仏忘れしやべり込む   長野いづみ


念仏よりもおしゃべりに夢中になっている老婆の様子。


十夜は「十夜法要」のこと。


かつてはその名のとおり、


十日十夜、寺に泊まり込み、念仏を唱えました。


十月六日から十五日までの十日間、


阿弥陀様が衆生を救済してくださるご恩に対し、


感謝を表すために念仏を唱えたのです。


浄土宗では念仏を唱えることが最大の善行とされています。


掲句は厳粛な場での煩悩の姿ですが、


これも十夜法要のリアルな側面ではないでしょうか。


うまく俗を描き出しています。

大谷弘至 official site

俳句「古志」主宰 和光大学俳句部顧問

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