「古志」深川句会(8月)を終えて 2
13日(水)の「古志」深川句会のつづきです。
第一句座、特選句からいくつか。
終戦日戦死の父の遺骨どこ 吉田順子
父還り生きて我あり終戦忌 大場梅子
いずれも自身のまなざしで戦争を詠んだ句。
八月の句座ということで、
太平洋戦争を詠んだ句が多く出句されました。
戦争の惨禍を語り継ぐ、詠み継ぐことは、
とても大事なことなのですが、
どうしても戦争経験が無い世代が詠むと、
借り物の目線、借り物の言葉で詠んでしまい、
ありふれた一般論に陥った句、あるいは、
標語でしかないものになってしまいがちで、
実際、この日の句座でも、そうした句が多く、
その点がわたしたちの課題だと感じるところでした。
その点、掲句はしっかりとみずからの目線と言葉で、
戦争と向き合っており、心を打つものがありました。
血湧くな踊るな肉よ敗戦忌 奈良握
「血湧き肉躍る」という慣用句をうまく換骨奪胎し、
自身の言葉に組み替えています。
それによって俳諧的味わいが生まれており、
たんなる標語で終わらずに、詩であることを保ちながら、
ファシズムの熱狂に対する戒めの一句になっています。
「古志」長崎句会のおりにもふれましたが、
歴史を眺めるのではなく、
自分が歴史から眺められている意識をもつことが大事だと感じています。
わたしたちは問う側ではなく、問われる側ではないでしょうか。
戦争を詠む際に意識しておこうと思っていることです。
「古志」深川句会は毎月第2水曜日に開催しています。
次回は9月10日(水)13:30〜
会場は江東区森下文化センターです。
「古志」の会員の方はどなたでもご参加いただけます。
会員以外の方は体験参加が可能です。
初心者の方も歓迎いたします。
詳細は「古志」公式サイトを御覧ください。
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