「古志」YouTube句会(7月)を終えて

7月26日(土)は「古志」Youtube句会でした。


毎月第四土曜日に定期開催しています。


特選句からいくつか。

英雄譚この夏雲の中にこそ   服部尚子


日本における英雄譚といえば、


素戔嗚尊、日本武尊、源義経などが思い浮かびます。


あの雄勁な夏雲の中に存在してこそ、


英雄たちの物語は輝かしく、はるかなるものになるというのです。


夏草や兵どもが夢の跡   芭蕉


にも少し通じるものがあるように思います。


〈こそ〉で留めることで、


きっぱりとした力強い表現になっています。


艦砲射撃八十年前の夏   佐藤光枝


太平洋戦争下における空襲や原爆の被害が語られる機会は多いですが、


米軍による艦砲射撃の被害があったことは意外と知られていません。


とくに二度も艦砲射撃を受けた釜石の被害は甚大なものでした。


作者の佐藤さんにとっては地元になります。


あえて感情を抑え、名詞を淡々と並べた表現なのですが、


一方で、抑えきれない何かが破調となって強く滲みだしており、


その重みを読者にひしひしと感じさせます。


そして、すべてをぶった切るように置かれた句末の〈夏〉の一字。


生きることを断たれた人々の無念がこの一字に託されているようにも読めます。


それは同時に、祈りとなってはるかに響いてもいます。


「やっと俳句にすることができた」とは作者の弁ですが、


地元の悲劇を風化させないためにも、


こうして一句で刻みこむことができたことは、


とても意義のあることだと思います。


なによりご本人にとって、大きな意味をもつ一句になったのではないでしょうか。


「古志」YouTube句会は毎月第4土曜日に開催しています。


次回は8月23日(土)です。


「古志」会員であれば、どなたでもご参加いただけます。


欠席投句も可能です。動画はあとからいつでもご視聴いただけます。


初心者の方、入会して日が浅い方も歓迎いたします。


参加のお申し込みは、


koshionline@yahoo.co.jp


まで、メールにてお願いいたします。


ぜひご参加ください。

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