『笈の小文』を巡る 鳴海 9 千鳥塚

芭蕉の『笈の小文』を巡る旅。

「千鳥塚」がある千句塚公園へ。

鳴海街道から住宅街を歩くのですが、急坂が多く、興味深い地形でした。


道中、桶狭間合戦の砦跡がいくつかありましたが、


さもありなんという印象です。

千句塚公園はこのような高台にあります。

眼下に住宅街が広がります。

休日の子どもたちが遊んでいる普通の公園ですが、

ここに「千鳥塚」があります。

「千鳥塚」は、当地(寺島安信邸)で詠まれた、


星崎の闇を見よとや啼く千鳥   芭蕉


の句にちなんで建てられたもの。

芭蕉生前に建てられた唯一の翁塚とされていましたが、

近年の研究では芭蕉三十三回忌の折に建てられたものと考えられています。


とはいえ、貴重なものであることには変わりはありません。

こちらが千鳥塚。

裏面。

ちなみに「星崎の〜」句を発句にした表六句が残っています。


星崎の闇を見よとや啼千鳥    芭蕉  

 船調ふる蜑の埋火       安信 

 築山のなだれに梅を植かけて    自笑  

 あそぶ子猫の春に逢つゝ    知足 

 鷽の声夜を待月のほのか也    ボク言  

 岡のこなたの野邊青き風    如風


こちらもいずれ評釈できたらと思います。

どうぞ良き一日をお過ごしください。

大谷弘至 official site

俳句「古志」主宰 和光大学俳句部顧問

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