「古志」YouTube句会(2月)を終えて 2
引き続き、2月22日(土)の「古志」Youtube句会。
ちょうど、きだりえこさんの句集『デラシネ』(青磁社)が刊行されました。
句集来る春一番を連れて来る 田村史生
この句の〈春一番〉は句集『デラシネ』の本質を踏まえたもので、
しっかりした挨拶句になっています。
〈春風〉では甘いですし、〈木枯らし〉では希望がありません。
(Photo by Canva 三浦海岸)
そして、当のきだりえこさんですが、
世直しにほとほと倦みて和布売 きだりえこ
たとえば一茶も「世直し」の句をよく詠みました。
世直しと称する打ちこわしが頻発したのです。
社会の転換期という点でも、文化文政の一茶の時代と現代はかなり似たところがあります。
ただ、一茶のころの「世直し」は庶民が自分たちの苦境を改善しようという、
純粋素朴な「世直し」であったのに対し、
現代の「世直し」の一部には、どこかきな臭いものを感じてしまいます。
結局はカネや利権、権力やルサンチマンの争いのように見えてしまうのです。
一部の声高に「世直し」の正義を叫ぶ人たちに対して、
正直うんざりしている人も多いのではないでしょうか。
そんな混迷している現代社会の喧騒から離れたところで、
和布売は今日も和布を売っているのです。
夏目漱石は『草枕』のなかで、
俗世間とは別乾坤(別の天地)を創出することが東洋の詩歌の効用だと述べています。
そして「汽船、汽車、権利、義務、道徳、礼義で疲れ果てた後に、
すべてを忘却してぐっすり寝込むような功徳」があると述べているのですが、
それはまさにいま多くの人が必要としているものではないでしょうか。
「古志」YouTube句会は毎月第4土曜日に開催しています。
次回は3月22日(土)です。
「古志」会員であれば、どなたでもご参加いただけます。
欠席投句も可能です。動画はあとからいつでもご視聴いただけます。
初心者の方、入会して日が浅い方も歓迎いたします。
参加のお申し込みは、
koshionline@yahoo.co.jp
まで、メールにてお願いいたします。
ぜひご参加ください。
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