「古志」YouTube句会(5月)を終えて
5月25日(土)は定例の「古志」Youtube句会でした。
特選句からいくつか。
その中に祭浴衣の万太郎 神戸秀子
一読、
神田川祭りの中をながれけり 久保田万太郎
を想起させます。
上五〈その中に〉がじつに効果的。
巧みにぼかした導入が読者を惹きつけるのです。
ぼかしてあることにより、余白(余韻)も生まれています。
祭りの中にたたずむ万太郎の面影がなんとも味わい深いです。
父の日やジョロの年々重さうな 久嶋良子
庭木に水をあげているご尊父。
かつては軽々と持ち上げていた如雨露(ジョロ)も娘の目には重たそうに映るのです。
老いて細くなった腕、思うように動かなくなってきた足腰など、
直接的に描写してあるわけではありませんが、
一句の背後から、ありありと目に浮かんできます。
水やりの一コマをとおして、親子の歳月など、さまざまな奥行きを感じさせます。
(Photo by Canva)
黄花咲くき組きうりと名乗るごと 鈴木榮子
まるで幼稚園生のような胡瓜の花。
花の咲きぶりを〈名乗るごと〉と表現したことで、
とても生きいきとした一句になっています。
花の声が聞こえてくるのです。
たたみかけるような〈き〉の音も心地よいです。
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