古門戸町 那珂太郎

きのうの記事のついでに、徒然と。


那珂太郎の句集『空寂』には、


博多の「古門戸町」を詠んだ句があります。


 幻のはもんどおるがん古門戸町

 雨の波紋はもんどおるがん古門戸町

 雨の日のいくさに消えし古門戸町


ハモンドオルガンは1934年に発明されており、


のちにジャズやロックでも使われるようになりますが、


青年時代の那珂にとって、最新の楽器だったと思います。


ちなみに古門戸町ですが、

詩集『はかた』に那珂太郎自筆の戦前の博多の地図が載っていますが、


古門戸町には「日本コロンビアチクオン」、「岩田屋ラヂオ」などの名が見えますので、


ハモンドオルガンの音色は、こうしたところから聞こえたものでしょうか。

古門戸町、現在ではこのような感じです。


写真右手の方、土居通りと大黒通りに挟まれたほんの小さな一角です。


3句目にあるように、空襲で全焼してしまいましたので、


戦前の面影はありません。

昨年の山笠の時期に撮ったもの。


ちょうど古門戸町から山笠の舁き手が出てくるところでした。

懐かしいです。


どうぞ良き一日をお過ごしください。





大谷弘至 official site

俳句「古志」主宰 和光大学俳句部顧問

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