「古志」福岡句会(2月)を終えて 2
早いもので3月ですね。
ホテルのロビーに飾ってあった雛段です。
うまく撮れていませんが、雰囲気だけでもお届けできればと思います。
きのうの続きです。
贐てふ淋しき言葉はるの雪 矢野京子
贐(はなむけ)という言葉、あらためて調べてみると、
旅立つ人の安全を祈り、その行き先へ馬の「鼻を向けた」ことに由来するようです。
春は別れの季節でもあります。
人生の新たな旅立ち、巣立ちを迎えた人を前向きに送り出すこと。
それがいちばんの「贐」なのでしょうが、やはり淋しいものです。
そんな淋しさをぐっと堪えて見送る人の姿が目に浮かんできます。
続いて第2句座から特選句をいくつか。
席題「鶯」、「猫の恋」、「チューリップ」でした。
恋猫に行つておいでとささやきぬ 坂口和子
膝の上にいる愛猫でしょう。
猫の耳元でけしかけるように囁いているのです。
猫への愛を感じるとともに、ミステリアスな空気もあります。
妖しい物語が始まりそうな雰囲気です。
恋の猫野見宿禰の手に負へず 木下まこと
野見宿禰は相撲の神様。大変な力持ちとして『日本書紀』に登場します。
以前にブログでご紹介しましたが、
福岡の住吉神社では横綱の奉納があり、力士像が祀られています。
そうしたことに着想を得て詠んだ句だそうですが、
じっさいに句会前に住吉神社を参拝されてきたそう。
席題は机上で作りますが、歩くことで得た経験が生かされます。
あらためて歩くこと、旅をすることの大事さを感じた次第です。
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