深川八幡祭り 7 永代橋と一茶
今回は深川八幡祭りの入りきらなかったぶんです。
8月13日には深川の各町53基の神輿が渡御しました。
コロナ禍を経て、6年ぶりの開催です。
別名「水掛け祭り」と呼ばれます。
神様が乗っている神輿にも容赦なく水を掛けます。
ことしはゲリラ豪雨もあいまって、すごいことになっていました。
沿道から水を掛けます。
こどもたちは水鉄砲を駆使します。
「わっしょい」は「和を背負う」という意味ともいわれています。
1807年(文化四年)には悲劇が起きました。
お祭りを一目見ようと、あまりにも多くの見物人が殺到したため、
人の重みで永代橋が落ちてしまったのです。
1400人もの命が失われたといいます。
秋風や藻に鳴く虫もいくそばく 一茶
一茶はこの悲しい事件を伝え聞き、この句を詠みました。
そしてつぎのように書き記しています。
月見る月十九日といふ日は、富ヶ岡八幡宮の祭りなりとて、
賤しきもの、貴きものにおとらじとあくまで着粧ひつつ、老いたるを先立て、幼きを懐にし
て、青空めづらしく祝ひ粧ひ出立ちけるに、
いかなる悪日にやありけん、永代橋といへる橋、中程よりめりめりとやぶれて、下りに円を転
がす如く、人に人重なり落ちて、見る内に波底の真砂とはなりけり。
一茶自身はこのとき、父の七回忌でたまたま帰郷していましたが、
もし、ふだんのように江戸にいたならば、
じぶんも祭りを見に行って、事故にあっていたかもしれない、
とも書いています。
崩落事故はたいへんな悲劇でしたが、
それくらい人びとは深川八幡祭りに熱狂したわけです。
当時から民衆のエネルギーに満ちたお祭りだったことがうかがえます。
現代ではより安全に、それでいて熱量は変わりません。
どうぞよき一日をお過ごしください。
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