若狭 14 棡山明通寺

おはようございます。早乙女です。(@福井県立若狭歴史博物館


若狭には佛多くて蒸鰈   森澄雄


と詠まれるように、若狭には古寺が多いです。


ここ小浜には小浜八ケ寺と呼ばれる8つの古寺があります。


詳しくは「小浜八ケ寺巡り」を御覧ください。

(文字をクリックしたら外部サイトに飛ぶことができます)

先日ご紹介した神宮寺も八ケ寺のひとつ。


各寺にはそれぞれ魅力的な仏像があります。


仏像については基本的に撮影禁止ですので、


ここではご紹介できませんが、


八ケ寺巡りの見どころの一つになっています。


今回は八ケ寺の一寺、棡山(ゆずりさん)明通寺をご紹介します。

小浜市街から人里離れた山深いところです。


道中、そこそこ長いトンネルを抜けました。

あたりを静寂が包みます。

石段を登っていきます。

本堂。


ご住職から寺と仏像について丁寧な解説をしていただけます。

三重塔。国宝です。


蜘蛛の囲が写り込んでしまいました。

明通寺の始まりは、なんと大同元年(806)のこと。


坂上田村麻呂の建立とされています。

「棡山」(ゆずりさん)の由来の棡木が植えてあります。

もともとこの寺の仏像は棡木を彫ったものだったそうです。


しかし、惜しくも焼失してしまい、


現在のものは、あらたに檜で彫られていますが、


それでも900年前の作だそうです。

今回の旅では、時間に限りがあり、


八ケ寺のうち巡ることができたのは、神宮寺と明通寺のみでした。


小浜は小さな町ですが、八ケ寺のほかにもたくさんの古寺があります。


前にもふれましたが、小浜に寺院が多いのは、


当時、さまざまな舶来の品々とともに、


最先端の文化・思想がこの地にもたらされたからです。


仏教もその一つでした。


貿易や物流の発展のおかげで、この地には裕福な商人が多数いました。


小浜商人といわれる人たちです。


そうした経済的豊かさも、寺院が多いことの理由になっています。

いまの小浜の街の雰囲気からは、想像し難いかもしれませんが、


森澄雄の「若狭には佛多くて蒸鰈」は、


こうした背景から生まれた一句なのです。


本日は棡山明通寺についてご紹介しました。


ぜひ、小浜八ヶ寺巡りにお越しください。


そのうち私もすべて巡りたいと思っています。


よき一日をお過ごしください。




大谷弘至 official site

俳句「古志」主宰 和光大学俳句部顧問

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