「古志」深川句会(5月)を終えて 1
あらためて第一句座、当季雑詠、特選句から。
若楓軽さひときは風のなり 越智淳子
〈風のなり〉は風の形のこと。
いろんな木々が風に揺れているけれども、ひときわ楓の葉が軽々と揺れていて、
まるで風の形そのもののようだというのです。
五月の風をありありと感じさせてくれます。
いろんな俳句があっていいわけですが、
やはり俳句は広やかなものでありたいと思っています。
わずか十七音(拍)ですが、
どこまでも心を広やかにしてくれます。
この句はまさにそんな句です。
烏賊船もダイヤのひとつ夜景かな 長野いづみ
この句も同様。
函館あたりの夜景が目に浮かびます。
ことばで祝う、言祝(ことほぎ)の一句です。
夜景の灯も多くは生活の灯なのですが、
烏賊船という、まさにいま働いている灯、
それはけっして優雅な灯ではないですが、
それもこの夜景を織りなすダイヤモンドのひとつだと言祝いでいるわけです。
働く灯の美しさ。あらたな美の発見があります。
俳句は広やかで、めでたいもの。
あらためてそんなことを感じさせてくれた二句でした。
おまけです。
これがまあつひの栖か雪五尺 一茶
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