大文字句会を終えて 2

17日(日)の大文字句会(「古志」京都句会)の続きです。

特選句からいくつか。


大文字母の形見の服を着て   氷室茉胡


大文字らしい、しみじみとした趣の一句。


母との名残を惜しむ姿です。


大文字お精霊さまに傘貸して   きだりえこ


雨となった今年の大文字。


それを即妙に、


さらりと詠んでいますが、


しっかりとした情感があります。


〈お精霊さま〉は〈おしょらいさま〉と読みます。


なお、句会の折りに言いそびれたと思うのですが、


原句は〈大文字や〉でしたが、〈や〉は無くて良いと思います。


美しき雨女ゐて大文字   高角みつこ


こちらも雨を当意即妙に一句にしています。


はんなりとした浴衣姿の女性などが目に浮かんできます。


美しいからこそ、いっそう罪深い感じがあり、


雨の暗さ、夜の暗さのなかに浮かび上がる、


女性の姿と大文字の炎の様子が、


上質なコントラストを生んでいます。

今年の左大文字。


雨のなか撮ってきました。


大文字についてはまたあらためてご紹介します。


どうぞ良き一日をお過ごしください。

大谷弘至 official site

俳句「古志」主宰 和光大学俳句部顧問

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