「古志」深川句会(8月)を終えて 1
8月13日(水)は「古志」深川句会でした。
まずは入選句から、時間の都合で講評できなかった句をいくつか。
黄信号父を追つかけ捕虫網 賀来邊庭
はらはらしてしまう一瞬をうまく切り取っています。
虫の夜や草木虫魚祖は一つ わたなべかよ
人類は自他を区別すること、
さらには、そのほかの生き物を細かく区別・分類することで、
進化してきましたが、
むしろ俳句は自他一如。
生きとし生けるもの、
石ころのような生なきもさえも〈祖は一つ〉ととらえたほうが、
心豊かになりますね。
紅の花咲く集落へ手描き地図 西川遊歩
〈紅の花〉というと、
芭蕉が「奥の細道」で訪れた、
山形県の尾花沢の風景がまず心に浮かびます。
古くから山形県は紅花の一大産地で、
紅花が県花にもなっているほどです。
芭蕉は「紅花大尽」と呼ばれていた豪商・鈴木清風のもとを訪れ、
眉掃を俤にして紅粉の花 芭蕉
と詠んでいますね。
西川さんの句ですが、
「奥の細道」のころの面影がいまも残っているかのような
集落の様子が浮かんできますし、
地元の人に手描きで描いてもらった地図でしょうか。
アナログな旅の様子も人情となつかしさを覚えます。
花カンナ負けず嫌ひの血を呉れし 臼杵政治
披講の読み誤り(私の選句稿の書き方のせい)で、
花カンナ負けず嫌ひの血を呉れず
と読まれていましたが、
あらためて味わってみると、
句の内容的には、意表をついた感じがあり、
読み誤りの句のほうが少し良いように感じます。
その場合、
花カンナ負けず嫌ひの血は呉れず
といった形でも良いかもしれません。
とはいえ、まったく逆の句意になります。
もともとの句でも十分良いと思うので、
あとは作者自身がどちらを取るかですね。
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2025.08.16 10:48