「古志」長崎句会(5月)を終えて 3
引き続き、5月31日(土)の「古志」長崎句会より。
特選句からいくつか。
聖人の中に子供や明易き 神蛇広
長崎には二十六聖人の殉教をはじめとして、
キリスト教弾圧の歴史があることでも知られています。
豊臣秀吉が禁教令を出して、最初に刑に処されたのが二十六人の殉教者です。
真冬の京都で市中引き回しにされた後、
長崎の刑場(西坂公園)にて磔の刑に処されました。
二十六人のうちには12歳のルドビコ茨木をはじめ、
三人の少年が含まれていました。
ルドビコ茨木は京都の修道院で病人のお世話をしていた敬虔な信徒でした。
掲句ですが、こうした二十六聖人の殉教の悲劇に対して、
「明易」の季語にその思いを託しています。
よけいな言葉を費やすよりも、季語に語らせたことで、
一句にはるかなる響きが生まれます。
長崎の悲しみを背に昼寝かな 木下まこと
長崎は古くより国際貿易都市であり、
華やかな歴史とその遺構があるいっぽう、
すでに述べたとおり、殉教の地であり、隠れキリシタンの地でもあります。
また、太平洋戦争では原子爆弾の被害に遭いました。
掲句では、そうした悲しみの歴史を背中にひしひしと感じているわけですが、
ここで「昼寝」の姿をもってきたところが俳諧。
そろそろの新茶を待ちて空茶箱 眞田順子
もう茶箱は空になっている、つまりお茶がもうない状態なのですが、
新茶が出るまで待っているのです。
新茶の到来を待ちわびる思いをうまく詠んでいます。
藺田わたる風のすがしさ朋来る 米山瑠衣
はるばる岡山から参加された齋藤嘉子さんへの挨拶句とのこと。
岡山は藺草の一大産地でした。
その栽培の歴史は神功皇后の時代まで遡ります。
戦後80年の節目と長崎支部10周年の句会でした。
今回、あらためて長崎という土地の奥深さを感じました。
旅の様子はまたあらためて記事にいたします。
折を見て、また長崎句会に出席させていただきたいと思っています。
また、戦後80年ということで、広島での句会も検討中です。
決まり次第、ご案内いたします。
どうぞ良き一日をお過ごしください。
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