「古志」深川句会(5月)を終えて 1
5月14日(水)は「古志」深川句会でした。
特選句からいくつか。
猿田彦伊賀へ伊賀へと走り梅雨 大場梅子
伊賀の案内人のように猿田彦が描かれています。
猿田彦といえば、天孫降臨の際に道案内をしたことから、
「導きの神」という性質を持っています。
このブログの「笈の小文を巡る 伊賀上野」への挨拶句とのこと。
ありがたく光栄なことです。
中七の畳み掛けは速度感を生み、
下五の「走り」は猿田彦一行と梅雨前線の両方にかかっています。
伊賀へ向かう道すがらの渺渺とした山野をイメージさせ、
挨拶句の枠を越えて、格のある一句になっていると思います。
長電話金魚玉にも夕日差し 小林昌子
時間と空間の変化から、心の機微まで、
細やかに一句に詠み込んであります。
それでいて、句がうるさくありません。
沈んでいく太陽によって、時間の経過が描かれ、
金魚玉によって、室内の空間が描かれ、
そこに夕日が差すことで、時間と空間が無理なく一体になり、
おだやかな余韻が生まれています。
誰との長電話なのだろう、どんな内容の電話なのだろうという想像も広がります。
(Photo by Canva)
梯梧咲く家と見紛ふ墓構へ 長野いづみ
沖縄のお墓です。
もともとは風葬でしたので、大きく造られています。
また、納骨の際には、宴会を墓で行っていたのだとか。
そういったことから、沖縄のお墓は大きく造られているのですが、
「家と見紛ふ」は表現がぴったりで、素直な驚きがよくあらわれています。
「墓構へ」も言えそうで言えない表現ではないでしょうか。
「古志」深川句会は毎月第2水曜日に開催しています。
次回は6月11日(水)13:30〜
会場は江東区森下文化センターです。
「古志」の会員の方はどなたでもご参加いただけます。
会員以外の方は体験参加が可能です。
初心者の方も歓迎いたします。
詳細は「古志」公式サイトを御覧ください。
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