古志YouTube句会(1月)を終えて
1月27日(土)は今年最初の「古志」YouTube句会でした。
年始から心が痛む大きな災害、事件が続きましたが、
そうした状況を踏まえつつも、
句会としては一年の滑り出しとして、とても良いものになりました。
特選句からいくつか。
(photo by Canva)
国揺れて効くや効かずや薺爪 奈良握
薺爪はいまでは見聞きしないものになりましたが、
正月七日、七草の茹で汁に指先を浸し、
ふやけて柔らかくなった爪を切ることを言います。
邪気を払い、無病息災の効果があるとされました。
七種爪、七日爪とも言います。
〈国揺れて〉とありますが、地震による揺れとも、
地震によって起こった国の混乱とも、
あるいはまったく別の政治的問題での揺れとも、
いかようにも受け取ることができます。
そして〈効くや効かずや〉でシニカルな笑いを生んでいます。
初雪の睫毛に触るる真白さよ 瑞木綾乃
目に飛び込んできた一瞬の白さを捉えています。
しかも初雪です。
とてもナイーブな静けさを湛えた句ではないでしょうか。
たとえば下五が〈つめたさよ〉ではすべて台無しになります。
絶妙な下五だと思います。
箸止まる能登大雪の一報に 鈴木榮子
上五が巧みに瞬間を切り取っており、
一句を劇的なものにしています。
被災地・能登が大雪とのニュースに、
一家団欒の楽しい空気が一変した様子がうかがえます。
下五、原句では〈夕ニュース〉でしたが、どうも収まりが悪いように感じました。
一句の速度感が失われ、説明的に響いてしまうのです。
ことばは極限まで削り落とすことで、より読者の心に届くように思います。
「古志」YouTube句会は毎月第4土曜日に開催していますが、
次回は2月23日(金・祝)になります。
ぜひご参加ください。
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