古志YouTube句会(11月)を終えて 2

きのうの続きです。


特選句から。


妹の産休けふから小春かな   藤原智子


働いている妹さんがめでたくもご懐妊、そして産休に入るのです。


そしてそれを祝福するかのように、小春の日となったわけです。


よけいな付け足しをせず、


作者の思いはすべて「小春」という季語に語らせています。


そのため、たんなる報告に終わることなく、


しみじみと温かい余韻が生まれ、


しっかり奥行きがある一句になっていますね。

(Photo by Jeremy Hynes


歌仙巻く一言主と木菟と   齋藤嘉子


一言主は葛城神社に祀られる神。


吉事も悪事もすべてたった一言で言い放つといいます。


木菟(みみずく)もどこか思慮深げで静かな印象の生き物。


とても静かな座が想像されます。


どんな歌仙が巻き上がるか楽しみですね。


もちろん、じっさいに一言主、木菟と歌仙を巻くと読んでもいいですが、


さながら一言主のような人、木菟のような人と一緒に歌仙を巻くという、


挨拶句として読んでもいいと思います。


いずれにしても歌仙の愉しみを伝えてくれる向日性の一句です。


「古志」YouTube句会は毎月第4土曜日に開催しています。


次回は年内最終、12月23日(土)です。


一年の締めくくりに、ぜひご参加ください。

大谷弘至 official site

俳句「古志」主宰 和光大学俳句部顧問

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