古志YouTube句会(11月)を終えて

11月25日(土)は定例の「古志」YouTube句会でした。


11月はまだ冬らしさはなく、


かといって秋の風情で詠むわけにもいかず、


季節的な難しさを感じます。

そんな影響からか、今回の句会は、


全体的にはあまり良くなかった印象です。


しかし、そうしたなかでも良い句はありました。


特選句から、いくつか。


木の葉髪はらりと落ちて眠りをり   神戸秀子


なんでもない寝姿ですが、


しんとした静けさのなか、かすかな寝息だけが聞こえてきます。


髪の毛がはらりと落ちる音、


それは人間の耳では聞き取れない音ですが、


それさえ聞こえるのではないかという静けさを描き出しています。


カツカツと歩くが羨し雪女郎   澤田美那子


ハイヒールでしょうか。


さっそうと若い人が歩いていく様子を羨ましいと感じているのです。


澤田さんの飾らざる嘆息がそのまま句になっています。


ご自身の境涯と重ねて詠まれているのです。


愛ほしやこのセーターの毛玉さへ   矢野京子


使い込んで古くなったセーター。


毛玉だらけなのでしょうが、それさえ愛おしい。


言うまでもなく、なにより愛おしいのは、


そのセーターを着ていた人。


矢野さんによれば、これが遺品のセーターとのこと。


大事にとってあるセーターなのでしょう。


亡き人を今も懐かしく思っているのです。


「古志」YouTube句会は毎月第4土曜日に開催しています。


次回は12月23日(土)です。


ぜひご参加ください。

大谷弘至 official site

俳句「古志」主宰 和光大学俳句部顧問

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