「古志」東京句会(9月)を終えて 2
きのうの続きです。
第2句座、席題(菊人形、ばつた、落花生)です。
特選句からいくつか。
きちきちや掘り捨てられし芋を踏む 平野皓大
若い作家ですが、普遍的なあわれを詠んでいます。
ここに描かれているのは芋を掘り捨てていく非情なる人間の営為であり、
それをきちきち(バッタ)が踏んでいくという厳しい自然のありようです。
実りの秋の光と影を感じさせてくれる一句でした。
(Photo by Tom Morel)
敦盛の笛吹くさまに菊人形 大平佳余子
敦盛は平家のサラブレッド。平清盛の甥にあたります。
若くして笛の名手でもありました。
しかし、一ノ谷の戦いで熊谷直実に討ち取られてしまいます。
わずか16歳の生涯でした。
その最期は直実の葛藤とともに『平家物語』で描かれ、
名場面の一つとなっています。
能『敦盛』でもそのあわれが語り継がれています。
そんな敦盛が菊人形となってこの世に蘇っているわけですが、
その姿はいっそう儚く感じられるのではないでしょうか。
作者の大平さんは大病を乗り越えて、
この日がひさしぶりの対面句会復帰でした。
とても喜ばしく感慨深い出来事でした。
次回の「古志」東京句会は来年3月30日(土)の予定です。
間が空きますが、ぜひお越しください。
対面句会としては「古志」深川句会を毎月第2水曜日に開催しています。
そちらにもぜひご参加ください。
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