「古志」深川句会(9月)を終えて
9月13日(水)は「古志」深川句会でした。
毎月第2水曜日に江東区森下文化センターで行っています。
第一句座、特選句から。
遡る鮭よこれより真田領 臼杵政治
この時季、鮭は産卵のため一生懸命に川を遡ってきます。
鮭からすれば、今ここが何領かは関係のない話でしょうが、
わたしのような人間からすると、
はるかなるロマンを感じざるをえません。
そこに住む人間の歴史と自然が渾然一体となる瞬間です。
(Photo by Brandon)
秋の蚊よ年代ものの俺の血ぞ 上俊一
まるでワインやウイスキーのような言い振りです。
老いた自分の血をさもすばらしいものであるかのように言っています。
良い血を吸わせてやっているつもりなのです。
老いを笑いに転じた一句ですが、
一茶の句風に通じるものがあります。
「秋」の蚊であることも一句の重要な鍵となっているでしょう。
蚊もまた命の終末へ向かっているわけで、
蚊のあわれも感じさせるのです。
江東や波郷の撮りし水の秋 西川遊歩
上五の切り出し方がとてもいいですね。
波郷の句柄にも適う風格があります。
波郷はカメラをもって江東周辺を歩きました。
それは『江東歳時記』という一冊になっています。
写真と俳句とエッセイが一つになっているわけですが、
当時としてはかなり斬新な試みだったのではないでしょうか。
とくに波郷を論じるにあたって、
もっと注目されて良いことだと思います。
わたくしごとでいえば、このブログも『江東歳時記』を念頭において書いています。
続きはまた明日。
どうぞよき一日をお過ごしください。
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