半歌仙「庵の月」の巻 連句解説 4

昨日の記事の続きです。


「古志」9月号掲載の半歌仙「庵の月」の巻の解説です。


ここまで「初折の表(表六句)」を解説しました。


続いて「初折の裏」に入ります。


初折の表は文字通り「表」ですので、


あらたまった形で進めていきましたが、


裏に入ると無礼講(!?)になります。


裏通りを歩く感じです。


恋や時事など、大きなことから小さなことまで、


なんでも詠みこんでいきます。


テーマが多岐にわたれば、わたるほど上手くいきます。


半歌仙は句数が少ないですので、


この点をより意識しなくてはいけません。


初折の裏、第一句、


夜会服アンドゥトロワで躓いて  りえこ


恋の句を引き出そうという意図がある句です。


こうした句を「恋の呼び出し」といいます。


この句自体は恋の句ではありませんが、


なにしろ「夜会」ですので、


恋へ発展する空気はぷんぷんと充満しています。


次に付ける人はこの「恋の空気」を感じ取らなくてはいけません。


裏ではかならず恋の句を詠みますが、


半歌仙ですので、もう早めに出してしまおうという流れです。


この句、「躓いて(つまずいて)」というあたりが俳諧ですね。


ダンスの出だしでつまずいてしまったのです。


雑(無季)の句です。


続きはまた明日。


どうぞよき週末をお過ごしください。

大谷弘至 official site

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俳句「古志」主宰 和光大学俳句部顧問

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