五本松

元禄6年(1693)秋、芭蕉は小名木川の五本松へやってきます。

五本松は現在の江東区猿江、小名木川橋のたもとにあります。

まえがきに「深川の末、五本松といふ所に船をさし」と記し、


川上とこの川下や月の友  芭蕉


と詠んでいます。

江戸名所図会』。


小名木川に舟を浮かべて月を眺めるのが風光明媚だということで


五本松は月の名所になりました。


芭蕉の庵からもほど近い場所ですので、


この句を詠んだとき以外にも


芭蕉はたびたびここを訪れたのではないでしょうか。

名所江戸百景」にも描かれています。


現在の五本松ですが、当時を偲んであらたに植えられたものです。

当時の松は明治40年に枯れてしまいました。

石碑が建っています。比較的最近のもののようです。

橋にはレリーフが。なかなか渋いです。


いまでは住宅街の一隅になっていますので、


ここを行き交う人の数はとても多いのですが、


みな足早に通り過ぎていき、


五本松はまったく見向きもされない存在になってしまっています。

少しだけ足を止めて、


江戸の人びとの心にいざなわれてみるのも悪くないのではないでしょうか。


同じ場所に、

五百羅漢への道標が残っています。


これは文化二年(1805)のもの。一茶の時代です。

震災、戦災をくぐりぬけて残っているのです。

五本松、名月の頃にあらためてご紹介したいと思います。


小名木川河畔の夏萩。


すこしの風で揺れるので、ぶれまくりです。

うまく撮れません。

奥に写っているのが小名木川橋。右手に五本松が見えます。

つい最近まで刈られた状態だった葦がすっかり繁茂しています。

なんという生命力でしょう。


この緑のように元気あふれる一日となりますことを。



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