「古志」広島句会(11月)を終えて

前後しますが、11月3日(祝)は「古志」広島句会でした。

特選句からいくつか。


骨だけの原爆ドーム寒からむ   斉藤真知子


爆風で骨組みだけになってしまった原爆ドーム。


もとは県の産業奨励館で、


チェコ人の建築家ヤン・レッツェルによって設計された


ネオ・バロック様式の美しい洋館でした。


人間や動物が痩せこけて寒がりになるように、


原爆ドームも寒いのではないかと気遣っているのです。


原爆の悲惨をいまも物語る存在ですので、


身構えて詠んでしまいがちですが、


このように親しみとユーモアをこめて、


まるで人間のように詠むこともできるのだと気づかされた一句でした。


死の灰の記憶はらはら散る紅葉   ももたなおよ


おなじ被爆地である長崎から参加されました。


ちょうど紅葉の散る季節でしたが、


色鮮やかなぶん、死の灰とのコントラストが効いてきます。


広島の紅葉はただ目に美しいだけのものではなく、


作者には死の灰の記憶がどうしても重なってしまうのでしょう。


こゑまでも灼き尽くされて雪蛍   木下まこと


原爆で命を奪われた人々のうち、


爆心地近くで犠牲になった方々は、


悲鳴や助けを求める声すらあげることができず、


一瞬のうちに命を奪われました。


犠牲者の肉体に意識が向きがちですが、


「声」に意識を向けたところが、


この句の大きなポイントでしょう。


そして儚く声をもたない存在である雪蛍もじつに象徴的です。


句会せん広島の秋暮るるまで   矢野京子


この日の句座への挨拶です。


とことん皆で俳句に没頭しようという思いを表しています。


矢野さんは「古志」広島句会を上品に柔らかく、


そして芯には確かな力強さをもって、牽引してくださっています。


それを物語る一句です。

古志 | 俳句結社「古志」のホームページ

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