「古志」福岡句会(9月)を終えて

9月18日(木)は「古志」福岡句会でした。

いつも有意義なご質問があり、活気のある句会になりますので、


わたし自身もとても刺激になっている句会です。

遅くなりましたが、特選句からいくつか。


岩田屋でメロンを買はな獺祭忌    今村榾火


岩田屋は福岡の人にはなじみの百貨店。


1754年(宝暦四年)に福岡で岩田屋呉服店を開いたのがその始まり。


福岡の繁華街、天神の真ん中にあり、地元民にとって特別な存在です。


そういった点で、この句は〈伊勢丹〉や〈三越〉では味が出ません。


地元の人が地元の百貨店を詠んでいることに意義があるわけで、


テロワール的な味わいが一句に生まれます。

そして獺祭忌は正岡子規の忌日。


子規は果物が大好物で、病床でも果物を食べすぎてしまい、


医者から叱られるほどでした。


「菓物(くだもの)くわぬ程ならば生きて居る甲斐はあらじ」と言い放っています。


子規がメロンを食べた記録はないのですが、


だからこそ、この句は良いと言えます。


子規も食べていないメロンを食べて、現代から子規を偲ぼうというのです。


爽籟や竹箒積む清掃車        加藤久子


竹箒が爽やかで印象的です。


文明の時代にあって、竹箒がまだまだ活用されているということへの感動もあります。


秋刀魚焼く庭のかぼすはまだ硬く   若松節子


サンマが到来したのに、かぼすが間に合わなかった。


秋の到来の季節感の微妙なずれ、


そうした機微を捉えるのは和歌以来の詩歌の大道ですね。


満月の重たさあるや牛の乳房    髙橋真樹子


仔牛だけでなく、わたしたち人間もまた、


牛乳の恩恵を受けて生きていますが、


この句はそんな大地の恵みの豊かさを感じさせてくれます。


さらには満月と比較したことで、


月の満ち欠けなど宇宙的な広がりも背景に感じさせるので、


宇宙の中の一存在としての牛や人間であることを思い出させてくれます。

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