「古志」深川句会(6月)を終えて
6月11日(水)は「古志」深川句会でした。
特選句から。
川の名を聞けば懐かし鮎の味 神谷宣行
川によって鮎の風味には違いがあります。
ある川の名を聞いたところ、その川の鮎の味が懐かしく思い出されたのです。
あえて川の名前を述べていないところも良いですね。
読者が自由にそれぞれの川を想像して読むことができます。
(Photo by Canva)
ちなみに、飴山先生に「鮎合せ」の一連の作品があります。
錦帯橋のそばの開花亭にて、
匹見川、成羽川、錦川の山口周辺の三川の鮎の食べ比べをしたのです。
それぞれの川の流域の蔵元(日本酒の醸造元)が持ち寄った鮎とのこと。
はじめから川の自慢や鮎合せ 飴山實『次の花』
その川の主の顔して涼しけれ
川自慢それから鮎と酒のこと
話さへかぐはしくなる鮎合せ
淡麗といふべき鮎は匹見から
妖艶のうるかは成羽川の鮎
藻の香してすなはち鮎を食うべけり
「かの魯山人にも一夜三川の興などあるべうもなけん」とみずから記しています。
一種の風流ですね。
しかし、こうした興趣は現代の俳句では失われてしまって久しいものです。
むしろ俳句の本質であると思うのですが、
とてもさびしいことです。
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