「古志」深川句会(10月)を終えて
石もまた旅してゐたり鰯雲 仲田寛子
人間ばかりが旅をしているわけではないですね。
そんなことをあらためて考えさせてくれます。
河原に転がる石もまた、ちょとずつ流され、
削られながら、丸くなりながら、それぞれの旅を続けているわけです。
石の一生もまた、はるかなるものです。
石叩流れがつくる丸い石 西川遊歩
という句もありました。
「石叩きが来ている」とか「石に乗っている」とか、
そういった説明的な叙述を排し、丸い石と石叩をシンプルに取り合わせています。
そのことによって奥行きのある味わいが一句に生まれています。
わざわざ説明的な叙述をしなくても、
丸い石の上に石叩がちょこんと乗っている姿が、
しっかりと目に浮かんできます。これぞ俳句の強みですね。
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