半歌仙「庵の月」の巻 連句解説 1

「古志」9月号の特集は「月と歌仙」でした。


今回はそこに掲載された連句作品、


半歌仙「庵の月」の巻をかんたんに解説していきます。

前回(4月号)の「龍門の巻」に引き続き、


今回も18句連ねた半歌仙です。(歌仙は36句、その半分なので半歌仙)


すでにある蕪村の句を発句(第一句)にして、


脇(第二)から開始しましたので、「脇起こし」の半歌仙となります。


捌きはわたくし大谷。


連衆は「古志」YouTube句会で募った有志です。


まず発句ですが、


庵の月主をとへば芋掘に   蕪村


月の特集ということで、この句を選びました。


名月の夜、とある庵を訪れたところ、


主は芋掘りに行って留守であったというのです。


この句、じつは元ネタがあります。


唐の詩人・賈島の「隠者を尋ねて遇はず」という詩です。


そのなかの「松下童子ニ問ヘバ言フ 師ハ薬ヲ採リニ去ルト


というフレーズを踏まえています。


隠者を訪ねたのですが、薬草を採りに行っており、留守だったというのです。


それが蕪村の句では、


「薬」が「芋」に転じているわけですが、


そこが俳諧の味なところですね。


ほどよく俗っぽくなっています。


中秋の名月では芋をお供えしますから、それを掘りに行っているのでしょう。


別名・芋名月ともいいますね。


以上が発句なのですが、


とにかく留守だったということですね。


続いて、わたしが脇(第二句)を付けましたが、


その留守という点に集中して付けました。


脇は発句の心にしっかり寄り添わなくてはいけません。


鳴くにまかせる蚯蚓七匹   弘至


主が留守の間に、ほったらかされた蚯蚓(みみず)が好き勝手に鳴いている様子。


「七匹」は今回の歌仙の参加者が七名だったことによります。


みなさんに伸びのび詠んでほしいという思いから詠んだ句です。


ちなみに歌仙の参加者のことを「連衆」(れんじゅ、れんじゅう)と呼びます。


この句は「連衆」への挨拶句でもあります。


「蚯蚓鳴く」で秋の季語です。


続いて、第三ですが、明日の記事にて。

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