「古志」郵便句会(5月)を終えて

5月の「古志」郵便句会から特選句からご紹介します。


「古志」郵便句会はオンライン句会に参加できない方々のための郵便による通信句会です。


来し方や薔薇見るたびに蘇る     神永秀郎


〈来し方〉というのは、じぶんが歩んできたこれまでの人生のことです。


作者の年輪が深ければ深いほど、重みがでることばです。


ゆえに〈来し方〉をくどくどと叙述してしまっては、


かえって読者に響かなくなってしまいます。


神永さんの句は〈薔薇〉にすべてを託しています。


「薔薇を見るたびに思い出すことがある」といっているだけです。


蘇る記憶が具体的になんであるかは明らかにしていません。


それゆえたっぷりとした余白が生まれ、


読者がそれぞれが思うままに心を重ねることができるのです。


季語に思いを託して詠むお手本のような句です。


なによりも季語が雄弁です。


季語のちからを信じ、季語に思いを託すこと。


あらためてそんなことを考えさせてくれる句です。

すでにブログでお知らせしていますが、


2023年後半も郵便句会を継続することになりました。


条件が該当する方は、ぜひご参加ください。


郵便句会が続けられるのも幹事の氷室茉胡さんのご尽力のおかげです。


句会や結社はさまざまな人によって支えられ、助けられることで成り立っています。


そうした方々への感謝を忘れず、


ご恩返しのためにも日々少しずつでも前進していきましょう。


よき一日をお過ごしください。

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