つつじから出でてつつじの清水哉 一茶
先日、区役所に行ってまいりました。
多忙なときほど、野暮用が重なります。
「世捨て人」を自称しているのですが、
あいかわらず日々の生活に忙殺されています。
世の中ままならないものです。
こうした慌ただしく忙しいときこそ、まわりに目を向けたほうがいいですね。
どんなに忙しくてまわりが見えていないときでも、
季語の宇宙は無限の姿でわたしたちを包んでくれています。
というわけで、
天気が良かったので、あえて歩いて行きました。
道すがら、横十間川親水公園。
近所のなんでもない公園です。
何年前になるでしょうか。
ここで「古志」鍛錬句会を行い、吟行で和船に乗りました。
すっかり葉桜となり、いまは躑躅(つつじ)の盛りです。
つつじから出でてつつじの清水哉
みちのくのつつじかざして一夜鮓
木瓜つつじ下手な春程咲にけり
いずれも一茶の句。
一句目は長年の遺産相続争いが決着した年、
文化十年(1813)51歳の作。
この時期、一茶は親族との遺産交渉のため、
そして15歳で家を追い出された無念を晴らすため、
江戸と信濃を徒歩でなんども往復していました。
一茶の苦労に比べれば、私の忙しさなど芥子粒以下です。
ところで、「つつじ」でぱっと思い浮かぶ名句がありません。
和歌以来詠まれている古い花なのですが。
つつじの名句、おすすめの句、ご存じの方は教えてください。
鳥交る春。
鷺(サギ)の楽園です。
樹上の白いかたまりも鷺です。全部で何羽いるかわかりますか?
7、8羽はいるはずです。
菖蒲田。
花はまだありませんが、
生命を感じさせます。
コロナ禍のまっ只なかの頃は、
知らない内に春が終わっていたという年もありました。
今年は春に取り残されずに済みました。
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